私たちの日常生活において、食事は楽しみの一つであり、生命を維持するために不可欠な行為です。しかし、その食事を支える「歯」が私たちの健康に与える影響は、想像以上に大きいのです。この記事では、「歯の健康がもたらすメリット」や、 歯の健康とは一見関係なさそうな「歯を大切にする意外な理由」について解説します。そのうえで、「習慣化すべき3つのこと」についても紹介していますので、せび参考にしてください。
歯の健康がもたらすメリット
歯の健康は、私たちの全体的な健康状態に大きな影響を与えます。健康な歯は、食事を楽しむためだけでなく、栄養の摂取、消化、そして全身の健康にも重要な役割を果たします。歯の健康を保つことで得られるメリットは多岐にわたりますが、以下に主なものを6つ紹介します。
1,全身の健康維持
健康な歯は、食べ物をしっかり噛むことで消化酵素の働きが活発になり、消化と栄養の吸収が促進されます。また、歯周病は全身の炎症を引き起こす可能性があり、心臓病や糖尿病などのリスクを高めることが知られています。したがって、歯の健康を保つことは、これらのリスクを減らすことにもつながります。
歯の健康を保つメリットや方法とは?不健康な歯が体に与える影響についても解説 (suntory-kenko.com)
2,脳への影響
噛む動作は脳の活性化につながり、記憶力の維持や向上に効果的です。また、噛むことによってストレスホルモンの分泌が抑制され、リラックス効果が期待できるため、メンタルの安定にもつながります。
3,栄養バランスの維持
歯が健康であれば、硬い食べ物や繊維質の多い食べ物も避けることなく食べることができます。食事の制限を受けることなく、栄養バランスの取れた食事を摂ることが可能となります。
4,生活習慣の改善
歯の健康を意識することで、食生活だけでなく、運動や睡眠など他の健康習慣にも良い影響を与えることが期待できます。定期的な歯科検診はもちろん、老化や病気の予防にも関心を持てるようになるでしょう。
5,医療費の削減
健康的な歯の価値は、一本100万円ともいわれます。これは、歯が全身の健康に与える影響を考慮したものですが、そもそも一本の歯をインプラント治療するだけで、およそ40万円程度かかると見込まれます。また、その後のメンテナンス費用や所要時間を考えると、その費用と時間の損失は、たいへん大きなものとなります。これに加えて、虫歯や歯周病をきっかけとした他の病気の医療費もかかってくれば、今後の人生設計ができなくなる可能性もでてきます。歯の健康を守ることは、将来の大きな出費の削減につながるのです。
6,自信の向上
美しい笑顔は自信につながります。健康な歯は見た目にも影響を与え、自信を持って笑顔を見せることができます。 また、正しい噛み合わせは顎の骨格を保ち、顔の形状を維持するのに役立ちます。嚙み合わせの良さは、顔の筋肉である表情筋も整えます。
歯を大切にする意外な理由
子供のころから、「歯を大事にしなさい」、「ちゃんと歯磨きしないと虫歯になるよ」と言われてきた方も多いと思います。しっかり歯磨きをしないと虫歯になって、歯医者さんで医療してもらわないといけません。しかし、歯を大切にする理由は、「虫歯を防ぐ」だけではありません。ここでは、虫歯予防以外の、歯を大切にする理由を5つ紹介します。
- 噛む力の低下を防ぐ
- 嚥下(えんげ)障害を防ぐ
- 認知症を防ぐ
- 筋力低下を防ぐ
- 歯周病を防ぐ
では、順番に見ていきましょう。
噛む力の低下を防ぐ
歯周病の発症や加齢とともに噛む力は低下します。それがさまざまな健康問題を引き起こす可能性を高めます。以降の項目で紹介していることも、この「噛む力」がキーポイントになっているものが多いです。ここでは、噛む力が弱まると、食べられるものが制限されるだけでなく、全身の健康にも悪影響があると覚えておいてください。
嚥下(えんげ)障害を防ぐ
食べ物を口に入れてから胃に送るまでのことを、「嚥下(えんげ)」といいます。噛む力が弱まると、食べ物をうまく噛み砕くことができなかったり、飲み込む力が弱まったりと、誤嚥(ごえん)のリスクが高まります。誤嚥とは、食べ物を飲み込もうとしたときに、気道(気管)に入ってしまうことです。若い人であれば、むせかえることで誤嚥を解消できる方は多いでしょう。しかし、体力の低い方や高齢者などでは、誤嚥は致命的な問題にもなるのです。
認知症を防ぐ
噛む力の低下は、認知症のリスクを高める可能性があります。認知症を予防するには、脳へ適度な刺激を与えることが重要とされています。噛む動作は脳への刺激となるため、健康的な歯を保つことは、認知症の予防に大きな影響を与えているのです。
筋力低下を防ぐ
歯の健康は、全身の筋力にも影響を与えています。例えば、強い力を出すときには、歯を食いしばりますよね。その時に、もし歯がなかったら、または虫歯で痛かったらどうでしょう。歯を食いしばることができないため、強い力を出すことができなくなります。こういった瞬発力の低下は、老化そのものですよね。歯を大事にすることで、全身の筋力を維持し、老化も防ぎましょう。
歯周病を防ぐ
歯を大切にする理由としては全く意外ではないですが、重要なので触れておきます。なぜなら、歯周病こそ最も怖い病気の一つと考えられるからです。これまでにも少し触れましたが、歯周病は、歯への悪影響や、噛む力が弱まることによる悪影響だけでなく、糖尿病や心臓病、高血圧や動脈硬化などにもつながる恐れがあるからです。もはや歯を磨くことは、健康寿命を伸ばすためにやっていることと考えましょう。
不健康な歯は体にさまざまな影響を与える|サントリーウェルネス
人生を楽しむために習慣化すべき3つのこと
これまで解説したように、歯の健康を守ることは、今後の人生を楽しむための土台となります。歯には、それだけの大きな価値があり、多くの人があまり意識していない「貴重な資産」なのです。この大切な資産を長期的に守り抜くため、「歯の健康への投資(お金や手間)」は、できるだけ積極的に行いましょう。これにより、医療費や時間、手間など、近い将来にかかるコストを大きく減らすことができます。そのために、まずは下記の3つを意識し、ぜひ習慣にしてください。
丁寧なオーラルケアをする
丁寧な歯磨きはもちろん、糸ようじ、歯間ブラシ、フロスなどを使用して、歯と歯の隙間の汚れも毎日落とすことができれば理想的です。これに加えて、リステリンやモンダミンなどの洗口液を活用すれば、もう完璧です。歯磨きに関しては、もしお金に余裕があれば、電動歯ブラシを検討しても良いでしょう。
意識的に噛み応えあるものを食べる
噛むことや噛む力は健康に与える影響が大きいため、あえて意識的に「噛み応えのある食べ物」を選んで食べることをおすすめします。例えば、ナッツ、キュウリ、リンゴ、軟骨などの硬めの食べ物です。または、オートミール、スルメイカ、ビーフジャーキー、エイヒレなどの、たくさん噛まなければならない食べ物が良いでしょう。
定期的に歯科検診を受ける
いくら丁寧に歯磨きしていても、磨き残しはあるものです。また、見えない部分のケアや、口内全体のチェックも、自分でやるにはハードルが高すぎます。さらに、歯石の除去や、歯周ポケットのクリーニングなどは、歯医者さんに行かないと不可能です。
だから、数か月ごとに歯科検診を受けましょう。定期的に専門家にみてもらうことで、日々の疑問の解決や、自分の歯と歯茎の現状がわかりますし、歯のクリーニングをしてもらうことで、きれいな歯を保ってもらえます。なお、詰め物の下の「かくれ虫歯」には要注意です。見た目ではわかりづらいようなので、詰め物のある歯に違和感を感じたら、必ず伝えるようにしましょう。
まとめ
この記事では、歯の健康がもたらすメリットや、歯を大切にする意外な理由、さらには人生を楽しむために習慣化すべきことついて解説しました。以下にその要点をまとめます。
- 歯の健康は、全身の健康に影響を及ぼす
- 歯の健康維持で、将来のコストを大きく減らせる
- 必ず、定期的に歯科検診を受けよう!
歯の健康は、単に口内の問題に留まらず、今後の人生を楽しむための土台となります。歯の健康を保つためには、日々の適切なオーラルケアが不可欠です。問題が起きてから対処するのでは、時間も労力もお金も大きくかかります。これを少なくするための「先行投資」として、できることからコツコツと予防にはげみ、より豊かな生活を目指しましょう。