社会人になると、運動の機会が減ってしまうことはよくあることです。仕事や家事に追われて、ジムに行く時間もないし、テレビやスマホでくつろぐ方が楽だし、という気持ちになりますよね。
しかし、運動不足は体力の低下につながります。加齢とともに筋肉量や骨密度が減っていくので、運動しないとさらに衰えてしまいます。そして、体力が低下すると、健康面だけでなく、経済面や精神面にも悪影響を及ぼします。
そこで、今回は、階段を使うことでどんなメリットがあるのか、健康面・経済面・精神面への効果を徹底解説します。「階段を積極的に使う人」と、「階段をいつも避けている人」との間には、時間の経過とともに圧倒的な体力差が生まれることでしょう。
階段を避けるデメリット
まずは、階段を使わないとどんなデメリットがあるのか、見ていきましょう。「階段を使わない」ということは、エレベーターやエスカレーターを使うということです。これらの乗り物は、便利で快適ですが、実は体にとっては良くありません。
健康面への悪影響
階段を使わないと、「筋力」が低下します。筋力が低下すると、以下のような健康面への悪影響があります。
肥満のリスクが高まる
筋肉は、基礎代謝を高める働きがあります。基礎代謝とは、安静時に消費されるエネルギーのことです。筋肉が少ないと、基礎代謝が低下し、消費カロリーが減ります。その結果、摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余分なエネルギーが「脂肪として蓄積」されます。これが、肥満の原因になります。肥満は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾患のリスクも高めます。
骨粗しょう症のリスクが高まる
筋肉は、骨に負荷をかけることで、骨の強度を維持する働きがあります。筋肉が少ないと、骨に負荷がかからず、骨密度が低下します。その結果、骨がもろくなり、「骨折」しやすくなります。これが、骨粗しょう症の原因になります。骨粗しょう症は、特に女性に多く見られる病気で、日本では約1300万人が罹患していると推定されています。骨折は、寝たきりや死亡のリスクを高めるだけでなく、生活の質を低下させます。
転倒のリスクが高まる
筋肉は、バランス感覚や反応速度を高める働きがあります。筋肉が少ないと、バランス感覚や反応速度が低下し、足元が不安定になります。その結果、つまずいたり、滑ったりして、転倒しやすくなります。転倒は、骨折の原因になるだけでなく、頭部や内臓に損傷を与える可能性もあります。転倒は、高齢者にとっては特に危険な事故で、日本では毎年約15万人が転倒による死亡や後遺症に苦しんでいます。
経済面への悪影響
階段を使わないと、「経済面」にも悪影響があります。健康面への悪影響が経済面にも波及するからです。以下のような経済面への悪影響があります。
医療費や介護費がかかる
健康面で問題が起きると、「医療費」や「介護費」がかかります。肥満や骨粗しょう症、転倒などは、長期的に治療やケアが必要になることが多いです。これらの費用は、自己負担や保険料の増加につながります。また、仕事を休んだり、退職したりすると、収入が減る可能性もあります。これらの経済的な負担は、生活水準の低下や貧困のリスクを高めます。
エネルギーの無駄遣いになる
階段を使わないと、エレベーターやエスカレーターを使うことになります。これらの乗り物は、電気や石油などのエネルギーを消費します。エネルギーの消費は、環境に悪影響を及ぼすだけでなく、経済的なコストにもなります。エネルギーの価格は、需要と供給のバランスによって変動しますが、近年は、エネルギー資源の枯渇や地政学的なリスクなどによって、高騰する傾向にあります。エネルギーの無駄遣いは、家庭や企業の経費を増やすだけでなく、国家のエネルギー安全保障にも影響を与えます。
精神面への悪影響
階段を使わないと、「精神面」にも悪影響があります。健康面で問題が起きると、精神面にも影響が出るからです。以下のような精神面への悪影響があります。
自信や自尊心が低下する
筋力が低下すると、「自分の体に対する自信」や「ホルモンバランスの乱れ」により自尊心が低下します。自分の体に満足できないと、自己肯定感が低くなり、人とのコミュニケーションや社会参加にも消極的になります。また、体力が低下すると、仕事や趣味などの活動にも支障が出ることがあります。これらのことは、自分の能力や価値に対する不安や劣等感を生みます。自信や自尊心が低下すると、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクも高まります。これは、「筋力」「ホルモン」「メンタル」が、それぞれ密接に関係しているためです。
ストレスが溜まる
筋力が低下すると、ストレスが溜まりやすくなります。筋肉は、ストレスホルモンである「コルチゾール」を分解する働きがあります。筋肉が少ないと、コルチゾールが分解されずに血中に残ります。その結果、ストレスが長期化し、心身に悪影響を及ぼします。ストレスは、不眠やイライラ、食欲不振などの症状を引き起こすだけでなく、免疫力の低下や炎症の増加などの慢性的な影響もあります。ストレスは、心身の健康を損なうだけでなく、人間関係や仕事のパフォーマンスにも影響を与えます。
階段を積極的に使うメリット
では、階段を使うとどんなメリットがあるのでしょうか?言うまでもなく、ここまで解説してきたデメリットと逆のことがメリットです。
以下に、階段を使うことのメリットをまとめておきます。
- 健康面へのメリット
・肥満のリスクが低下する
・骨粗しょう症のリスクが低下する
・転倒のリスクが低下する - 経済面へのメリット
・医療費や介護費が節約できる
・エネルギーの節約になる - 精神面へのメリット
・自信や自尊心が高まる
・ストレスが解消される
階段筋トレを習慣にするコツ
階段を使えば、あなたの体と心と財布に優しいことがわかりました。では、どのようにして階段を使う習慣をつけることができるのでしょうか?ここでは、階段を使う習慣をつけるためのコツをいくつか紹介します。
目標を設定する
目標は、「具体的」で、「達成可能」で、「測定可能」であることが望ましいです。例えば、「一日に階段を何回使うか」「階段を何階分使うか」「階段を使うタイミングはいつか」などを決めておきましょう。目標を設定することで、階段を使うことに対するモチベーションや意識が高まります。
トリガーを設定する
トリガーとは、習慣を始める「きっかけ」となるものです。例えば、「会社では階段を使う」「昼休みに階段を使う」「通勤時には階段を使う」など、決まった時間や場所や状況をトリガーにすることができます。トリガーを設定することで、階段を使うことが自然に思い出されやすくなります。
報酬を設定する
報酬とは、習慣を続けるための「ご褒美」です。例えば、「階段を使ったらお気に入りの飲み物を飲む」「階段を使ったら好きな音楽を聴く」「階段を使ったら自分に褒める言葉をかける」など、階段を使うことに対するポジティブな感情を生み出すものを報酬にすることができます。報酬を設定することで、階段を使うことが楽しくなります。
記録する
記録とは、習慣の進捗や成果を記録することです。例えば、「階段を使った回数や階数をカレンダーやアプリに記入する」「階段を使ったことで体重や体脂肪率がどう変化したかをグラフにする」「階段を使ったことで気分や自信がどう変化したかを日記に書く」など、階段を使うことに対するフィードバックを得ることができます。今では、iPhoneに元から入っているフィットネスアプリなど、歩いた歩数や距離はもちろん、階段を上った階数や消費カロリーなど、スマホを持っていいるだけで計算・記録してくれる便利なアプリもあります。記録することで、階段を使うことの効果や意味を実感できますので、ぜひ活用していきましょう。
まとめ
階段は、日常生活の中で簡単にできる「貴重な筋トレの機会」です。階段を使うことで、筋力を高めるだけでなく、健康・経済・精神面にも様々な良い効果をもたらします。
また、「目標・トリガー・報酬を設定」し、日々の運動を「記録」することで、階段を使う習慣をつけることができます。階段を使う習慣をつけることは、最初は大変かもしれませんが、続けていくうちに、自然と身に付くようになります。ぜひ、階段を使う習慣をつけて、健康的で豊かな生活を送りましょう。
最後に、この記事を一言で要約しておきます。
いつまでも健康でいたいなら、積極的に階段を使おう!
これです。
ジムでの筋トレを考える前に、日常の中の「貴重な筋トレの機会」を逃さないようにしましょう。