昔の私は、何かがうまくいかないとき、まず「もっと頑張ろう」と考えていました。
朝起きられないなら、早く寝る努力をする。
お腹の肉が気になるなら、お腹を鍛える。
どれも、間違ってはいないように見えます。
でも、結果はほとんど変わりませんでした。
変わったのは、頑張るのをやめて、環境の方を変えたときでした。
早く起きるために、早く寝る努力をしていた
社会人になって数年間、私は朝がとにかく苦手でした。
毎朝ギリギリの時間に飛び起きて、慌ただしく家を出る。そんな日々が続いていました。
なんとかしようと、いろいろ試しました。
しっかり起きられるように、目覚まし時計を新調する。
早く起きるために、意識して早めに布団に入る。
それでも眠れないときは、お酒の力を借りて眠ろうとする。
でも、結局どれもうまくいきませんでした。
21時に布団に入っても、朝の5時まで眠れないことはざらでした。そして明け方に寝落ちして、ギリギリの時間に飛び起きる。
お酒を飲んでも、意外と眠くならない。むしろ飲みすぎて、翌朝はいつも以上に体調が悪い。
遅刻しないように早く寝ようとすればするほど、それがストレスになって、余計に寝つけなくなっていました。
頑張るほど、状況が悪くなっていたのです。
朝起きられない原因は、睡眠ではなく通勤だった
今振り返ると、私は「朝起きるために、早く寝る方法」を一生懸命考えていました。
でも、朝起きられない本当の原因は、睡眠ではありませんでした。
つらい通勤でした。
当時は郊外の寮のような住まいから、満員電車で長い時間をかけて通勤していました。毎朝の通勤のつらさが、夜の寝つきの悪さにまでつながっていたのです。
この原因をどうにかしない限り、いくら早く寝る工夫をしても、状況が良くなるはずはありませんでした。
そして、通勤という環境を変える方法は、ほぼ一つしかありません。
住む場所を変えることです。
そう気づいてからは、とにかく現状をガラッと変えたいという気持ちでいっぱいでした。
引越したいと考えていたエリアまで出かけていき、不動産屋に飛び込んで、その日のうちに物件を決めてしまったほどです。
多少、条件が甘かった気もします。でも、それくらい早く抜け出したかったのだと思います。
当時の通勤がどれほどつらかったか、引越しで何が変わったかは、こちらの記事に詳しく書いています。
【54記事目の公開後、ここにリンクを設置】※10月初めには公開予定
お腹の肉も、鍛えて落ちたわけではなかった
似たような経験は、もう一つあります。
お腹まわりの肉を落とそうと、ジムに通っていた時期がありました。
お腹を意識したメニューを、1回1時間半ほど、週に2回。
筋肉はつきました。
でも、お腹のぷよぷよした肉は落ちませんでした。
その後しばらくして、健康を意識した食生活を始めました。
すると1か月ほどで、あれほど落ちなかったお腹の肉がなくなっていたのです。
理由はシンプルでした。
お腹に肉がつくような食生活をしていたから、いくらトレーニングで落とそうとしても、プラスマイナスゼロになっていただけでした。
変えるべきだったのは、鍛え方ではありませんでした。肉がつく原因になっていた、食生活の方だったのです。
必要な栄養がとれていると、余計な食欲も湧きにくくなります。だから私の場合、我慢して食事を減らしたという感覚は、ほとんどありません。
この「余計な食欲」については、こちらの記事で詳しく書いています。

ちなみに、運動そのものを否定するつもりはありません。健康のため、楽しみのための運動は、むしろ大切だと思っています。
ただ、痩せるためだけに、やりたくない運動を頑張り続けるのは、少しもったいない時間の使い方かもしれない。今はそう感じています。
困難に直接向き合う前に、その発生源を変える
2つの経験を並べると、同じ構造が見えてきます。
朝起きられない。だから早寝を頑張る。
でも実際に効いたのは、引越して通勤の負担を減らすことでした。
お腹の肉が落ちない。だからお腹を鍛える。
でも実際に効いたのは、食生活を変えることでした。
どちらも私は、目の前の困難に直接対処しようとしていました。
本当に必要だったのは、その困難が生まれている発生源そのものを変えることでした。
言われてみれば、当たり前の話です。
でも、自分のこととなると、なかなか冷静には見られません。目の前の困難が大きいほど、それをどうにかすることで頭がいっぱいになってしまうからです。
もし当時、朝起きられない原因が、仕事の内容や職場の人間関係だったなら、話は違っていたと思います。
その場合は、無理に我慢して頑張るより、職場を変える方が正解だったかもしれません。
大事なのは、何が発生源なのかを見極めることです。
そして正直に言えば、私がそれに気づけたのは、運が良かった部分もあると思っています。
入社数年目でお金にも余裕がなく、気持ちも疲れきっていた時期でした。あのタイミングで引越しという選択にたどり着けたのは、幸運だったと感じています。
狙っていなかった変化まで、環境が連れてきた
引越しには、思ってもいなかったおまけがありました。
それまでの住まいは、寮のような部屋でした。自室にはキッチンも冷蔵庫もなく、洗面台さえありません。
引越し先は、普通のアパートです。
キッチンがあるので、食事は基本的に自炊になりました。忙しい朝のために、食パンも買っておくようになりました。
気づけば、朝起きると食パンとコーヒーがある部屋になっていたのです。
さらに、通勤が楽になったことで、途中でお腹が痛くなるのではという不安も和らいでいました。
こうなると、少しでも余裕のある朝は、焼きたての食パンをかじって、コーヒーをすすりたくなります。
朝食を食べるようにしよう、と決意したわけではありません。
引越しの目的は、あくまで通勤を楽にすることでした。
それでも、朝食を食べたくなる環境に住んでいた。
環境が変わると、行動は意志とは関係なく、自然と変わっていく。そう実感した出来事でした。
今も、まず環境から考えている
この経験以来、何かを変えたいときは、まず環境の方から考えるようになりました。
身近な例でいえば、本棚です。
以前は、読み終えた本を収納スペースにしまいこんでいました。そこで、小さな3段の本棚を買って、目に入る場所に置きました。
本を整理するきっかけにもなりましたし、何より、本が視界に入る機会や、手に取る機会が増えました。
子ども部屋にも本棚を置き、学習漫画のような本を並べています。
すると、気が向いたときに、子どもが勝手に手に取って読むようになりました。
「本を読みなさい」と言う必要はありません。
本が身近にある環境を、用意しただけです。
子どものうちから本が身近にあれば、大人になっても本を楽しめる人になってくれるかもしれません。
いろいろなことを知っていれば、いろいろなことを楽しめるようになります。本棚ひとつが、少し先の楽しみを増やすことにつながればいいなと思っています。
変えにくい環境ほど、慎重に選ぶ
ただ、環境の中には、気軽に変えられるものと、変えにくいものがあります。
本棚なら、合わなければ置き場所を変えればいいだけです。
でも、一度決めると簡単には変えられない環境もあります。
その代表が、住まいです。
一人暮らしの頃は、思い切って引越すこともできました。でも家族がいると、そう気軽には動けません。
子どもが生まれるのを機に、私はさらに通勤しやすい場所へ移りましたが、このときは一人暮らしの頃より、ずっと慎重に選びました。
家の中は、あとからいくらでも変えられます。
でも、駅からの距離や街の雰囲気、治安といった周りの環境は、自分では変えられません。そして、時間が経っても変わりにくいものです。
だからこそ、最初の選択が大切になります。
お金の世界にも、同じような環境があります。
証券会社や、投資商品です。
資産形成に合わない商品を買い続けてしまうと、いざ変えたいと思っても、簡単にはいきません。売却すれば利益に対する税金が確定しますし、別の商品に投資し直すまでに、タイムラグも生まれます。
もう一つ、私が意識しているのは、将来の自分の判断力です。
年を取ってから、ポートフォリオを見直したり、その都度判断して売却したりするのは、正直に言って面倒です。そのころには判断力も落ちていて、そもそも管理しきれないかもしれません。
だから、判断力が落ちた未来の自分でも、心配せず楽に扱える運用計画を、今のうちに立てておく。
これも、未来の自分のための環境づくりだと思っています。
まとめ
朝起きられないなら、早く寝る努力をする。
お腹の肉が落ちないなら、お腹を鍛える。
かつての私は、目の前の困難にまっすぐ向き合い、頑張ることで解決しようとしていました。でも、どれもうまくいきませんでした。
変わったのは、困難の発生源である環境を変えたときです。
引越しで通勤を変え、食生活を変えた。すると、狙っていた以上の変化まで、環境が連れてきてくれました。
頑張る前に、まず何が発生源なのかを見てみる。
変えられる環境は、気軽に変えてみる。
変えにくい環境は、未来の自分のことも考えて、慎重に選ぶ。
環境は、意志より強い。
だからこそ、その強さを自分の味方にしておきたいと思っています。
関連記事



